1枚の写真

 
監督の吉本です。
映像で伝えることを通して出来る事は、簡単に言ってしまえば、「記憶」に残すことと、「記録」に残すことではないかと思います。
皆様もテレビ等と通して、様々な情報、津波の恐ろしさ、被災者の苦労を情報として知ったと思います。
しかし、やはりそれだけでは、「記憶」に残すことは、難しいのでではないかと思います。現地行って初めて分かる空気感や、そこで感じる感情が、情報としての事実を、「記憶」に留めてくれるのではないか、と私は思っています。
また、そこで撮った写真などあれば、再びあのとき感じた想いを想起させてくれる。そういう意味で、「記録」も重要であると思います。

私が、昨年の5月、亘理町にボランティアをさせてもらった時、ある男性が「ここで会ったのも何かの縁だし、記念写真を撮ろう。」とおっしゃってくれました。
数ヶ月後、送ってくださったその1枚の写真を見たときに、私は「あ、自分はあの時、亘理町でボランティアをしたのだ。」と改めて認識することが出来ました。

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確かに、被災地で写真を撮ることは、あまり気が進まないという方が多いと思います。ただ、自分がそのとき何を感じ、どう行動したのか?何が出来て何が出来なかったのか?忘れることなく誰かに伝え続ける為にも、記録に残すことは悪いことではないと思います。

伝え続けることはとても酷な作業です。
20年後のf大学生に震災のことを伝えるということは、すなわち、今生まれた赤ん坊が大人になるまで、この悲劇を語り続けるということです。
自分が生まれたとき何があっただろう…ということを考えてみても、私は実感がわきません。
僕一人の力で出来ることは限界があるのかもしれません。それでも、今出来ることを精一杯やって、人の心を動かし続けたいと思います。

 
 
2012年04月29日 - 監督:吉本 涼